書く順番で話の雰囲気が変わる

 文章はただ事実を時間軸どおりに書いても面白くありません。文章を書く上で楽しい点は、時間軸を自由に変化できるということです。

「パーン!」
 青空の下でピストルがなった。同時に俺は右足で地面を蹴りあげる。最高のスタートだ。
 走る前からずっと考えていた。今日だけはなんとしても一位にならなくてはならない。
 このレースで一位になれるなら、これで引退したっていい。
 この数ヶ月、今日のこのレースのためだけに練習してきた。

 とまあこんな文章があるとするでしょ。では時間軸を変更してみましょう。

 走る前からずっと考えていた。今日だけはなんとしても一位にならなくてはならない。
 このレースで一位になれるなら、これで引退したっていい。
 この数ヶ月、今日のこのレースのためだけに練習してきた。
 ここで最高のスタートを切る。それが勝利への第一歩だ。
 青空の下でピストルがなった。
「パーン!」
 同時に俺は、右足で地面を蹴りあげた。

 どうでしょう?レースの結果はどちらの方が気になりますか?
 私はもちろん後者のつもりで書きました。

 書いている文言には大きな変化はないのに、書く順番で読後感が変わるんですよね。文章を書く上で、これは知っていてほしいと思います。
 秋晴れの日に行なわれた運動会の日記を書くとしても、最初に天気を書いてもいいですが、私なら最後に書きます。

 今日は晴天。天気に恵まれた運動会。
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 たくさん走ってとても疲れた。

 今日は運動会。
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 疲れた体を癒すように、心地よい秋風が吹いていた。

 ね? 読後感が違うんです。
 相手に良い読後感を味わってもらうためには、最後を格好よく締めればいいんです。
 逆に、相手にまず読んでもらうことを目的とするなら始めにインパクトを持ってくる。例えば「」で囲まれたセリフから初めてみるとか、質問を最初に投げかけるとか。

 読ますのが目的なのか。読んでもらったあとに「良い文章」と思ってもらうのが目的なのか、それによって書き出しや文章の締め方、表現方法、そして時間軸を変化させることを忘れないでください。