読点と漢字を使い分けて文章を読みやすくする

 読点はなんのためにあるか。それは読み手に読みやすいリズムを与えるためです。言い換えれば、こちらが読点をつけてやることで、相手の読むスピードやリズムをコントロールしているのです。読点の付け間違いや、過剰に使用することは、読み手を混乱させたり、読むスピードを極端に遅くしたりというマイナスの効果をもたらします。
 もう何年前になるのでしょうか。小学一年生で始めて日記を書いたときの書き出しを今でも憶えています。
「きのう、ぼくは、・・・」
 もちろんそれ以降は忘れてしまいましたが、今から適当に書いてみることにします。

 昨日、僕は、お父さんと、公園で、サッカーをしました。
 僕が、ボールを蹴ると、とても変なところへ、飛んでいってしまいました。
 お父さんは、サッカーがうまいので、ちゃんと狙ったところへ、飛んでいきました。

 さあどうでしょう。読点が多すぎますね。読点は読み手に無意識に1拍の間を与える効果がありますので、多用すると読みにくくなったり、くどくなったりします。
 ここで文章をリフォームしてみましょう。

 昨日はお父さんと公園でサッカーをしました。
 僕がボールを蹴ると、とても変なところへ飛んでいってしまいました。
 お父さんはサッカーがうまいので、ちゃんと狙ったところへ飛んでいきました。

 これでリフォーム完了。ぐっと読みやすくなりました。
 ここで大事なのは、表題にあるとおり、漢字と読点を使い分けることです。
 実は漢字とひらがなの間には、読点と同様、読み手に半拍ほどの間を与える役割があります。ひらがなとカタカナの間も同じです。また、読点を要するケースとして、漢字続きの場合があります。
 では順を追って説明します。
 まず一行目の

昨日、僕は、お父さんと、公園で、サッカーをしました。
          ↓
昨日はお父さんと公園でサッカーをしました。

 ですが、最初に「僕」を省きました。私の日記ですから、僕はと書かなくても主人公は私だと誰もが理解できるからです。僕を省くことで「昨日僕」という読みづらい漢字続きのため「昨日、僕は」と読点を使わざるを得なかった部分が解消されました。
 「お父さんと」「公園で」「サッカーをしました」に関してはひらがなと漢字、ひらがなとカタカナの関係なので読点を省いて読んでみましょう。もっと長い文章なら、読点を省くことで呼吸を置く場所がわからなくなって読みづらくなることが出てくるかもしれませんが、これくらいの短い文章なら省いてやった方がぐっと読みやすくなるものです。
 リフォーム前とリフォーム後を読み比べてみてください。ずいぶん読みやすくなったと思いませんか?

僕が、ボールを蹴ると、とても変なところへ、飛んでいってしまいました。
          ↓
僕がボールを蹴ると、とても変なところへ飛んでいってしまいました。

 まず「僕が」と「ボールを」がひらがなとカタカナの関係になっているので読点を省きます。
 「ところへ」「飛んで」も同様の関係ですので省いてやった方が読みやすくなります。
 ここで大切なのは「蹴ると」と「とても」の間の読点を残したことです。もし読点がなければ

蹴るととても変なところ

 となり、ひらがなの「と」が二つ続きになります。これは見た目も良くないし、読み手も一瞬混乱します。文頭で説明したように、読点は読み手に読みやすいリズムを提供するものなので、こういった読み手が混乱するようなひらがな続きの場合は読点を残してやりましょう。

お父さんは、サッカーがうまいので、ちゃんと狙ったところへ、飛んでいきました。
          ↓
お父さんはサッカーがうまいので、ちゃんと狙ったところへ飛んでいきました。

 これもひらがなとカタカナ、ひらがなと漢字の関係を利用して読点を省き、ひらがな続きで読みにくくなる「でちゃんと」の部分にしっかり読点を残しました。